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書を読むという行為が、人間の成長や知的能力の向上に必須のものであることを、かつての社会は経験法則的に理解していたのではないだろうか。素読(注1)などは強制的、修養(注2)的なものではあるが、読書習慣の形成を何よりも重視する教育メソッド(注3…
よく知らない人についてどのようにして印象を受けるのであろうか。アッシュの有名な実験を例にして紹介する。誰彼についての印象というものは、与えられる手がかり(情報)の順序によって影響されることを示している。たとえば、「知的な→勤勉な→衝動的な→…
今の世には明るいものは余りに少なく、暗いものは余りに多く見えるが、両者は別個のばらばらではない。絶望と見える対象を嫌ったり恐れたりして目をつぶって、そこを去れば、もう希望とは決して会えない。絶望すべき対象にはしっかと(注1)絶望し、それを克…
昔も今も、才覚というのは一定の軌道から飛び出してゆく能力のことで、みんなにそんな例外的な能力が備わっていたら、そもそも大地にはりつく農業も、分業で成り立つ産業社会もあり得ない。いつの世も、才覚のある者が新しいビジネスを起こしてゆくのは事実だ…
これから起こる社会の変化を読みとるのは難しい。しかし、その変化を見極めて将来に対する指針をもたなければ、激しく変化する社会のなかで自分を見失ってしまう。歴史学は、この時代の変化を長い時間のなかにおいて見据え、社会め進む方向を教えてくれる学問…
現代、恋愛は、通常は部分でしか他者とかかわり合いをもたない個人にとって、例外的に全人格と全人格とのぶつかりあいを経験する、特別な関係なのであろうか。それとも、「全人格的」というのは幻想で、恋愛もまた互いに自己のある一面を見せあう、部分的関係…
目を見て話す。 この秘訣を教えてくれたのは、まだ小さかった頃の娘でした。 「外から帰ったら、手を洗いなさい」 「ごちそうさまを言いなさい」 (中略) どんなに声に威厳を込めたつもりでも、新聞を読みながらだと、まるでだめ。 「お父さんはこう言…
「A」 近年食品問題への関心が高い。その多くは食品の安全性を不安視する声だ。すでに政府は中立の立場で公正に科学的評価を行う機関を設置し、企業も独自の検査や表示を行うなどの対策を始めた結果、以前より安全性は向上していると言える。 しかし残念…
音楽に限ったことではないが、芸術、文化などの名で呼ばれるものはどうしても、現実の政治経済や社会生活に関わることがらとは切り離されたものと考えられることが多く、またそうであるがゆえに価値をもつものとされてきたと言った方が良いだろう。近年のよう…
多くの人は、個性の持ち主にあこがれて、できれば見習いたいものだと思いながら、実は一方で「人並み」であることをひそかに求めてもいる。「ひと」からはずれていたり、遅れていたりすることは、彼らを極度に不安にする。「同じ」思いを抱いていたことを発見…
大方の予想に反して、科学が飛躍的な成果をもたらす現場では、誰もが実生活のなかで体験する新鮮な驚きや、たわいのない(注1)思いつきの類いがその起点となっている。むしろ、科学の画期的な発明発見ほど、かぎりなく日常的で具体的なものごとがもとになっ…
十年絵を描いてきて、最近になってようやく筆の止めどころがわかってきたかな、と思います。描きすぎずに筆を置くコツが少しずつわかってきた。 最初のうちは、筆が多くなるものなんです。描きたいという気持ちが強いだけに、まだ足りない、まだ足りないとい…